パシュパティナート・バグマティ・アーラティ日供祭

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パシュパティナート・バグマティ・アーラティ日供祭

パシュパティナート寺院(Pashupatinath Temple)はバグマティ川の両岸に端を発し、長きに渡って建て増しされてきました。聖なる川・バグマティはカトマンズからタライに流れ下った後にガンジス河に合流し、そのままベンガル湾に流れ込むヒマラヤ源流にあたることから、この寺院はヒンズー四大寺院のなかでも「頭部」に位置する重要史跡と位置づけられています。さらにヒンズー思想ではバグマティに聖浄の力を認めており、ここで沐浴することで一切の罪は浄化されるとされているため、来世の輪廻転生を思い、ここで荼毘に付されることを強く望む教徒が後を絶ちません。

アーラティ(Aarati)と呼ばれる日供祭は、寺院主塔の対岸の境内で行われます。ヒンズーの寺院で広く行われているアーラティは、お浄めを済ませたギー(Ghee、生乳を原料とするバターオイル)を染み込ませた布を特製の祈祷用トーチにセットして火を灯し、この火と舞踏を神に捧げる儀式です。アーラティに先立ち、オイルランプや卓上灯籠や手鐘を使った定例儀式が3人の担当僧によって行われます。儀式の間、担当僧達も周りの修行僧達も、ずっとマントラを唱えています。

と言っても実際に定例儀式とアーラティをご覧になれば、儀式というより一種の芸能を見ているような印象を受けるかもしれません。比較的テンポの速いマントラ祭詞が、抑揚や調子をつけて歌うように唱えられる中、3人の担当僧がそのマントラのリズムに合わせて定められた所作を粛々とこなしていきます。アーラティで唱えられるマントラ祭詞はバジャン(Bhajan)と呼ばれるヒンズーの献身歌ですが、この歌とリズムに合わせて3人の担当僧が同時にトーチを頭上に掲げ、時に回し、あるいは自らが身を翻したりする「祈祷・奉献」の舞が、世界各地にある火祭りや火踊りを連想させるということはあるでしょう。

パシュパティナートのバグマティ・アーラティ日供祭は、毎夕18時ころに始まります。アーラティは担当僧を中心としてその場に居る全員が祈祷・奉献を行うものですので、我彼・主従というよりは混然一体となって進んで行きます。誰もが等しく祈祷に加わり、精神的奉献を通して神々と結合するために、バジャンを吟じ手を叩き、身体をくねらせてアーラティに参加します。聖なる川・バグマティや、ヒンズーの重要史跡であるパシュパティナートに対する畏敬と恭順の念を示す場ともなっています。

ヒンズー思想ではあらゆる霊魂すべてに神が宿ると考え、そのひとつひとつの神をあがめるため、誰か一人、何か一つのためというより、すべての霊魂やそこに宿る神の幸福を願う祈りを捧げます。アーラティでもその思想は顕著に現れていて、バジャンでは、神も人も全部が一体となり、そのすべてがよりよく命を生きることを唱え続けています。

アーラティではシヴァ神のものとされるタンダヴ(Tandav)という舞も奉納されますが、ほとんどの参加者が自然とこの舞で担当僧に寄り添い踊り、シヴァ神への信仰心が広く持たれていることもわかります。

バグマティ・アーラティの起源は古いとされていますが、今のように日供祭形式になったのは比較的最近の2006年です。歌うような節回しをつけて唱えられているバジャンは上述の通りマントラ祭詞であり、単なる歌ではありませんが、ヒンズー教の正式な祈りとしては認められていません。一方でアーラティは儀式そのものが「究極の祈り」とされていますので、バグマティ・アーラティ日供祭は、マントラ祭詞に合わせて行われる究極の祈りの儀式、ということになります。

多くの人が日供祭に訪れますが、シヴァ神を敬う日とされている毎月曜日は一段と賑わいを見せます。またシヴァ神の大祭・マハシヴァラトリ(Maha Shivaratri)、女性が男性に祈りを捧げるハリタリカティージ(HaritalikaTeej)の日などの大きな祝日も、アーラティが行われる境内は人で埋め尽くされ、ごった返します。

儀式の最後には生きとし生けるものすべてが健やかで居られること、およびその恩恵を与えてくれる神に対する感謝と祈りを述べて、アーラティは幕を閉じます。

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